逆子とは
赤ちゃんの頭が下向きに無い状態のことです。
お腹の中で赤ちゃんの頭が下向きになっている状態を頭位といい、通常はこの状態で分娩が行われます。
逆に頭が上向きになっている状態を骨盤位(逆子)といいます。骨盤位(逆子)での自然分娩は出産時に頭が出てきづらく、分娩に時間がかかる可能性が高まってしまいます。
分娩に時間がかかり過ぎると赤ちゃんが低酸素状態になって仮死状態や後遺症を引き起こすリスクもあるため、胎児や母体の状態を考慮して、帝王切開での分娩を選択されることが一般的となっています。
原因
逆子の原因として以下のことが考えられます。
- 下半身、腹部の冷えがあり、お腹の張りが強い
- 子宮の奇形
- 子宮筋腫
- 卵巣のう腫
- 羊水の量の異常(羊水過多・羊水過少)
- 胎児の発育遅延
逆子によるリスク
逆子の状態は赤ちゃんのつま先や膝が子宮口を圧迫しやすくなるために、お腹の張りの出現や破水しやすいリスクが高まります。
分娩時に1番大きな頭が最後に出てくるために、へその緒を圧迫してしまい、脳が酸欠状態となり、頭蓋内出血や新生児仮死のリスクが高まります。
赤ちゃんの腕が出てくる際に無理な肢位が強制されるために、上腕骨や鎖骨の骨折、腕の神経損傷による麻痺残存のリスクが高まります。
鍼灸治療は逆子矯正に有効
逆子は、下半身や腹部の冷えに伴って起こることが多いと考えられ、鍼灸を用いた逆子治療で改善されることがあります。
全日本鍼灸学会の文献(※1)では、妊娠33週目の初産婦260名に対しての鍼灸治療を行い、逆子矯正に有効であることが示されています。
グループ1の130名には鍼灸治療を行い、グループ2の130名には行いませんでした。その結果、グループ1の逆子矯正率は76%、グループ2の逆子矯正率は58.5%の結果となり、鍼灸治療による逆子矯正の有効性が示されました。
鍼灸による胎動亢進の現象も示されており、赤ちゃんが動きやすくなることで逆子の矯正に繋がるのではないかと考えられます。
当院の逆子鍼灸治療
逆当院の逆子鍼灸治療では、主に足やお腹への鍼灸施術を行います。
温熱刺激によってへその緒・子宮全体の血流改善が期待でき、子宮の緊張状態の変化や胎動の亢進で赤ちゃんが正しい位置に動くのを促進させます。
また、鍼灸治療にはお薬を使用しないために、妊娠期間中でも安心して受けられるメリットもあります。
妊娠中は薬の使用が難しく治療できない症状が多くありますが、鍼灸は安全で有益な方法であると証明されています。(※2)
いつまでに治療を始めると良いの?
妊娠28〜31週以内に施術を始められると改善率が高まりやすく、31週を超えると改善しにくくなります。
逆子の診断を受けたらできるだけ早期に開始されることをオススメします。
さらに理想としては、逆子と診断される前から、妊娠前後のマイナートラブルを避ける目的で行うアフターコンセプションケアとして鍼灸治療を受けられることをオススメしています。
アフターコンセプションケアについてはこちら
※このような場合は逆子施術を行えないことがあります
- ・胎児の首に臍帯(へその緒)が巻きついている
- ・前置胎盤
- ・切迫早産や流産の可能性がある場合
※1 参考文献:全日本鍼灸学会:お灸で骨盤位(逆子)が治る
※2 参考文献:The safety of acupuncture during pregnancy: a systematic review , by Jimin Park , Youngjoo Sohn , Adrian R White , Hyangsook Lee